摩擦圧接法の導入

摩擦圧接法の利用範囲は広く、その導入の目的も広範囲である。従来、複雑な形状、材料の制約その他により製作法が限られていた部品についても、摩擦圧接を適用することによってより合理的な製作法が採用でき、加工時間の短縮のみならず、材料制約、工程の省略も可能でありその応用範囲も広い。

他溶接法からの変更

自動車用ステアリングシャフトのウォーム部とシャフト部は、従来フラッシュ溶接がされていましたが、溶接後の全長のばらつき・心違いなどの寸法精度、溶接品質およびランニングコスト面で改善を必要とし、このため摩擦圧接が導入されました。ステアリングシャフトは重要保安部品であり、特に強度的な保証が要求されるが、摩擦圧接法によれば従来の方式に比較して品質的には不良率が約10分の1以下となり、量産部品として自動化ラインへの組込みも可能になり、寸法精度の向上と併せて、生産性の向上およびコストダウンに大きく寄与しました。

高価材料の部分利用

洗濯機、水中ポンプなどのモーターシャフトは、羽根の取付け軸部が腐食されるため、耐食性材料の使用が必要であるが、ステンレス鋼材の溶接が困難であるため、一体丸棒材からの機械加工で製品化していました。摩擦圧接を利用することにより、必要部分のみステンレス鋼を使用し、材料費の節約と加工工数の削減が可能となりました。

環境改善

摩擦圧接は、火花(スパッタ)・ガスなどの発生が無く、作業環境の改善が可能です。またほかの接合法に比較して二酸化炭素排出量が少ないです。摩擦圧接の採用により従来のアーク溶接と比較して二酸化炭素排出量が47%削減できた例があります。

その他、摩擦圧接は、素材の組み合わせ方式の変更で、例えば、印刷機、複写機などのローラにも利用されています。ここでも、素材の肉厚軽減、機会仕上げ程度のグレードダウンによって材料費と加工費の大幅な削減に成功しています。